Poland - stary sacz 02
スタンリソンチにもあと1日の滞在を残すのみとなりました。
別れはいつも寂しいものですが、国を超えた交流を持てた事が今回の大きな成果だと思って
います。またの再会を確認して各国のアーティストも家へと戻っていき残りは日本人とイタリア
人だけとなりホテル内もすっかり寂しくなりました
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前半の制作期間中はとにかく猛暑が続きましたが、小学校の2室をアトリエとして使用しなが
ら作品制作を行い、夜はどこかでパーティーというレジデンスとしてはハードなスケジュール
を過ごして行きました。とにかくポーランド人は酒が強い人ばかりなので、ウオッカの食前酒
は当たり前で最終的にはズブロッカまで行きつきます。
自分の作品としては音楽と絵画の領域を組み合わせたかったので、キャンバスをメインの
マテリアルとして使用するために思考して、今回はキャンバスに超指向性スピーカーを組み
合わせる作品と、振動モジュールを天井から吊るす2作品を制作するために取り掛かって
いきました。どちらも今年3月に行った個展の発展系ですが、とにかく電源周りと音の制御
部分を制作するため専用工具とハンダ持参でアトリエで作業してたので、画を書いている
人達の中で一人ハンダ作業をしているという異空間を作り出していました。
早朝からのフィールドレコーディングワークも同時に始めて毎日色々な音風景を録音していき
ましたが、幼ない頃に家の近くで聞こえていた虫の音色がポーランドで再び聞くことができた
りすると何だか記憶のフラッシュバックも起こっていきます。特にこの街は北海道の風景に
似ているところが多いので、まるで日本に居るような錯覚さえ起こします。
アトリエに戻ると各アーティストが各々自分の作品に取り掛かっています。フランス人の
benとguyはフォトコラージュ作品を作るため街のあちこちに撮影に向かい、ポルトガルの
アントニオは早速筆を走らせていたりと、頭の中の思考がそのままキャンバスに写っていく
様をリアルタイムに見るのがとても刺激的でした。
制作の後はバスをチャーターして近郊の施設やミュージアムを見学したり、バーニングマン
的なイベントを行ったりと、スケジュール満載な日々を過ごしていきましたが、後半からは
雨が降る日も多くなり徐々に展覧会に向けて集中していくことになります。
開会式でも配られた今年のカタログはしっかりと製本された作品集になっており、
ヨーロッパのアートと文化事業のシステマチックな構造を知ることが出来ます。様々な
スポンサーやファンドの上で成立しているこのアートインレジデンスは地域を活性化させる
ためにも重要な役割を果たしています。広報としてもアトリエの小学校に地元TVの取材が
入ったり新聞記事になったりと適切なオーガナイズもされており、展覧会の搬入当日を
迎えるのであります。(つづく)